ドラゴンクエストが映画化されたこともあり、「プレイしてみたいけれど、どれから始めればいいのかわからない!」という人も増えたと思う。たぶんいない。
ということで、一応ナンバリングタイトルを全てプレイした僕が、初心者にオススメな作品を紹介しよう。軽く解説も入れます。
ドラゴンクエストとは
ドラゴンクエストシリーズとは、1986年に発売された『ドラゴンクエスト』を第一作として、多岐にわたって展開されたゲームシリーズである。
ナンバリングタイトル、すなわち本編と言えるのがⅠからⅪまで発売されている。
外伝作品は非常に豊富だが、ここでは混乱を避けるために言及しないでおく。本編を一通りプレイしてから触ると楽しいので、後の楽しみにしよう。
ドラゴンクエストシリーズは1つのタイトルで完結する作品になっている。世界観は共通だが、過去のタイトルに登場したキャラクターが別のタイトルで重要な役目を担うことは(ほぼ)ない。
ただし、ナンバリングの中でも、設定が繋がっている作品がある。
Ⅰ、Ⅱ、Ⅲをロトシリーズと呼び、勇者ロトにまつわる伝説を巡る物語。
Ⅳ、Ⅴ、Ⅵを天空シリーズと呼び、天空の世界に深く関わる物語。
これらの作品は単体でもストーリーが完結するが、各3部作を通してプレイすると、より理解が深まる。
Ⅶ、Ⅷ、Ⅸ、Ⅹは連続性が(ほぼ)ない。
Ⅺはロトシリーズに関連するが、もちろん単体で完結する。
これらを踏まえたうえで、まずは結論から。
結論
4、5、8。
各ナンバリングタイトル解説
プレイできる機種とちょっとした解説を述べる。
各ゲーム機の略称はこちら。海外版は省略。
FC=ファミリーコンピューター
SFC=スーパーファミコン
GB=ゲームボーイ
GBC=ゲームボーイカラー
PS=PlayStation
PS2=PlayStation 2
PS4=PlayStation 4
DS=ニンテンドーDS
3DS=ニンテンドー3DS
スマホ=スマートフォン(iOS、Android)
ドラゴンクエスト
FC、SFC、GB、Wii、スマホ、PS4、3DS
ドラゴンクエスト第一作目。仲間は存在せず、1人で冒険を進める。
ストーリーが短く、最近のゲームと比べると、やや物足りなく感じてしまう。
RPGの根幹に近い部分で制作されているため、良くも悪くも「昔のゲーム」。しかし、当時はより万人向けに作られたRPGだった。
ロト三部作に言えることだが、ストーリーやキャラクターが評価を受けがちな近年のシリーズの中で、どうしてもそれらの要素が希薄である。
現代に合った作品を紹介したい思いから、今回は選外となった。他の作品をプレイした後に、ドラゴンクエストシリーズの根幹を知りたくなったらプレイすると良い。
オススメの機種はバランス調整がされたSFCとGBだが、現実的には3DSやPS4でのプレイになるだろう。やや安っぽく感じるかもしれない。操作性に少し難があるものの、スマホも良移植である。
ドラゴンクエストⅡ 悪霊の神々
FC、SFC、GB、Wii、スマホ、PS4、3DS
前作の主人公の子孫たちが主人公。パーティ制が導入され、乗り物(舟)も初登場した。
当時としては新しい試みがたくさん盛り込まれ、大ボリュームとなった作品。次作発売時の社会現象を巻き起こす布石となった面白さがある。
今となっては他の作品と比べて語られることも少ないが、ドラゴンクエストシリーズの飛躍に間違いなく貢献した作品。
Ⅰと同じ理由で選外となったが、ロト三部作をプレイする際には是非ともプレイしたい。ちなみに、発売はⅠ→Ⅱ→Ⅲだが、時系列はⅢ→Ⅰ→Ⅱとなる。どちらの順番でプレイしても楽しめるだろう。
オススメの機種はⅠと同じくSFCとGBだが、やはりPS4、3DS、スマホでのプレイが現実的である。Wii版でもロト三部作のSFC版が遊べるが、入手難易度が非常に高い。
ドラゴンクエストⅢ そして伝説へ…
FC、SFC、GBC、Wii、スマホ、PS4、3DS
ロト伝説の謎が明らかになる。後のシリーズでも登場するキャラクターメイキングシステムや転職システム、昼夜の概念が導入された。
発売当時、会社や学校を休んでゲームを買いに行く人たちが大勢現れ、社会現象となった。ドラゴンクエストの代表作を問われて、この作品を答える者も多い。
Ⅱを超えるボリュームとお楽しみ要素がふんだんに盛り込まれ、後の作品への基礎が踏み固められた作品と言える。
Ⅰと同じ理由で選外となったが、「勇者」となって「魔王」を倒す一連の流れの原点を楽しめる。特に、Ⅺを始める前にはプレイしていてほしい。
オススメの機種はSFCもしくはGBC。PS4、3DS、スマホではお楽しみ要素の一部が削除されているため、できればSFCかGBCでプレイしたいところ。
ドラゴンクエストⅣ 導かれし者たち
FC、PS、DS、スマホ
全5章からなるオムニバス形式。馬車によって仲間の最大人数が増え、命令を決めてAIによる戦闘も導入された。
リメイクであるPS以降は、仲間との会話システムも採用され、よりキャラクターが活きるようになった。ただし、追加されたシナリオは蛇足との意見もあり。
ⅡやⅢよりも積極的に、仲間がストーリーに介入するようになった。物語性がより評価されるようになったのは、この作品からだろう。
難易度も比較的低く、キャラクターの個性を使い分けて戦う楽しさを覚えられることから、ドラゴンクエスト初心者にオススメのタイトルとした。
PS以降であれば、機種にそれほどの差はない。あえて言うなら、操作性と入手難易度からDSが気楽に始められるだろう。
ドラゴンクエストⅤ 天空の花嫁
SFC、PS2、DS、スマホ
3世代にわたる重厚なシナリオが魅力。結婚イベントでの究極の2択は多くのプレイヤーを悩ませた。一部のモンスターが仲間になり、後のナンバリングタイトルや外伝に大きな影響を与えた作品。
とにかくその人気ぶりから、ドラゴンクエストを知らなくても話題を耳にしたことがある人も多い。映画? ああ、うん。
親子愛を感じさせる、涙を流すこと間違いなしのシナリオが選出の決め手。モンスターが仲間となって戦うのは、シリーズの中でやや特殊な部類だが、仕組みとしては非常に簡単。難易度も比較的低い。
オススメの機種はDS。PS2はシリーズの中でも美麗なグラフィックだが、個人的にはドット絵を推したい。スマホはDSをほとんどそのまま移植しているが、やはり操作性が悪い。
ドラゴンクエストⅥ 幻の大地
SFC、DS、スマホ
2つの世界を行き来しながら冒険が進んでいく。天空シリーズ最終作にして、天空城の始まりが知られる物語。
再び転職システムが採用され、より近年の作品に近い仕様となる。全体的に難易度が上がっており、ドラゴンクエストをまったく知らないまま挑むと、特にボス戦に苦労することが多くなる。
シナリオはかなり分厚いのだが、いかんせんややこしい点が多い。ドラゴンクエスト初心者にオススメするにはハードルが高く、後回しにすると良いだろう。逆に、プレイの幅が広いので、何度でも楽しめる作品ではある。
オススメの機種はDS……と言いたいところだが、SFCでも遜色なくプレイできる。特に、モンスターを仲間にするシステムが大きく異なっており、DSとスマホは劣化だと言われるのはここが原因。環境さえ整っているのであれば、SFCでのプレイをオススメしたい。ちなみに、戦闘のバランス調整もまちまち。
ドラゴンクエストⅦ エデンの戦士たち
PS、3DS、スマホ
石版を集めて、封印された地を巡る物語。この作品から、別作品との関連性が薄くなる。
クリアまでのプレイ時間が最も長くなりがちで、前半はショートストーリーの連続となる。伏線が非常に多く、隅々まで冒険すると非常に楽しめる。また、鬱屈とした内容が合う人もいれば、合わない人もいる。賛否両論に分かれる一作となってしまった。
馬車システムが廃止され、仲間は最大4人までとなった。逆に言えば、Ⅵから続けて採用されている転職システムが活きやすくなっている。
ドラゴンクエスト初心者にとっては難易度が高く、あまりオススメできない。リメイクされた3DS、スマホはバランス調整が行われたが、最初のドラクエとしてはイマイチ面白さが伝わりにくい。
オススメの機種は3DS。ドット絵を楽しみたいのであればPSだが、フリーズが多い。Ⅰ~Ⅵに比べてスマホでの操作性は悪くないが、どうしても3DSには劣る。
ドラゴンクエストⅧ 空と海と大地と呪われし姫君
PS2、スマホ、3DS
ドット絵から完全3Dに変化した作品。スキルシステム、テンションシステムなど、後の外伝作品に大きな影響を及ぼした新しいシステムを多く導入している。
当時としてはグラフィック面が非常に優秀で、シリーズの中では海外での人気が高い。というのも、ドラゴンボールで有名な鳥山明さんの絵柄が忠実に再現されているため。
旅の目的がはっきりしているため、ストーリーがわかりやすい。仲間の数は多くないものの、転職システムが廃止された影響で、それぞれのキャラクターの役割がわかりやすくなっている。これらが初心者にオススメする理由である。
3DSの追加要素が多く、ボス自体は強化されたものの、相対的な難易度は低くなっている。システムを理解すると楽しみの幅が広がるため、クリアまでしっかり遊べる作品。
上記の理由からオススメの機種は3DS。グラフィックはPS2に劣るが、バランス調整がしっかりしている。
ドラゴンクエストⅨ 星空の守り人
DS
ナンバリングタイトル初の携帯ゲーム機専用作品。2009年の発売だが、リメイクはされていない。
携帯機ならではの通信システムを利用した多人数プレイ、すれちがい通信を利用したやり込み要素が豊富。本編よりもクリア後が本番と言っても過言ではない。Ⅲ以来のキャラクターメイキングシステムを採用。
前作までと比べてストーリーに物足りなさを覚えるプレイヤーは多い。グラフィックもPS2に劣るため、ドラゴンクエストとしては「新しい試み」のために作られた作品と言える。
DSのWi-Fiサービスが終了していることもあり、本作を遊び尽くすのは非常に困難。リメイクを待つのが得策。
ドラゴンクエストⅩ
Wii U、PS4、Switch、Windows
ドラゴンクエストシリーズ初のMMORPG。早い話がオンラインを前提にしたゲーム。パッケージの代金に加えて、プレイ期間分の代金がかかる。新しいシナリオをプレイする際にも、さらにパッケージを買う必要がある。
サブタイトルは各パッケージごとにつけられており、「Ver.1 目覚めし五つの種族」「Ver.2 眠れる勇者と導きの盟友」「Ver.3 いにしえの竜の伝承」「Ver.4 5000年の旅路 遥かなる故郷へ」「Ver.5 いばらの巫女と滅びの神」となる。
ドラゴンクエストをプレイしたことのない人には不向け。情報量が多く、他のナンバリングタイトルと性質が大きく異なるため、初心者にはオススメできない。
オススメの機種は特にない。Wiiや3DSが早々に追加パッケージを作られなくなったことを考えると、最新機種であるPS4かSwitchが無難だ。パソコンのスペックに自信があれば、Windowsでも構わない。
PS4では体験版でかなり遊べる。実際に購入するかは一度遊んでみてから決めたほうが良いだろう。
ドラゴンクエストⅪ 過ぎ去りし時を求めて
PS4、3DS、Switch
ロトシリーズと深く関連がある作品。Ⅷ以来のオフラインになった。
PS4では美麗な3Dポリゴンで表現された等身大の世界を、3DSではⅨに近いデフォルメの3Dとドット絵の2Dの世界を楽しめる。Switchはいわゆる完全版と言える。
最新作なだけあって、シナリオとシステムは完成されているため、単純にプレイするだけならばこの作品を選ぶべきなのだが、あえて選外とした。先述の通り、ロトシリーズとの関連が深いため、筆者としてはロト三部作をプレイした後に遊んでほしい。
オススメの機種はSwitch。グラフィックはPS4に劣るものの、両機種の良いとこどりに加えて、追加要素がかなりあるとの話。
終わりに
長いシリーズになればなるほど、新規参入者はどれからプレイすればいいのか悩むと思う。ドラゴンクエストに興味を持ってくれた人の、少しでも参考になれば幸いだ。