大学受験を試みた人なら、人生で一度は言われたことがあるでしょう。
「文系と理系、どちらに進むの?」
しかし、この分け方は実によくわからないことを言っているので、あまり真に受けてはいけないという話をします。
経済学部は一般的に文系の進路です。ですが、経済学は当たり前のように数学を使います。理系の進路として建築学がありますが、間違いなく経済学の方が使います。
この時点で、もうよくわかりません。
入学試験に必要な科目と大学での研究に必要な学問に差異があるのです。
では、どうして文系と理系に分けているのでしょうか。
それは簡単、高校と大学と学生が楽をするためです……というと印象が悪いので、もう少し詳しく話しましょう。
まずは大学。
学生を文系と理系に分けることで、コストをカットしています。
たとえば、理工系の学部には語学の授業が多くありません。ドイツ語やフランス語くらいでしょう。……明治の頃であれば、ドイツ語やフランス語を使うことで、西洋の学問を解き明かしたのでしょうが。実際のところ、これから必要なのはもっと別の語学です。だって、その国に仕事があるのですから。
逆に文系では、少し前まではコンピュータについて学ぶ機会がありませんでした。今は、多少整っています。
このように、一見すると余分に見えるものを切り捨てることで、楽をしているんですね。
で、その大学が入試科目を文系・理系に分けることを前提に、次は高校です。
なるべく多くの生徒をなるべく多くの大学に進学させるためには、限られた時間と教員を使って、より効率良く受験に対応しなければなりません。その方法として、生徒を大きく2つに分けるのです。
すると、学生は「数学ができないから文系に進む」などと言い出します。良い逃げ道ができているので、そこを歩こうとするのです。おかげさまで、算数すらできない大学生のできあがり。
大学で1年勉強すればわかりますが、文系・理系を区別する意味などありません。むしろ、弊害さえあります。
大学生においては、そんな入試のためだけに用意された仕組みに囚われることなく、自分の学びたいこと、あるいはそのために必要な学問を選択して、より自由な研究をしてほしいです。
高校生も、是非このことを念頭において、受験に臨んでほしいですね。
ちなみにこの仕組み、どうやら日本だけの仕組みらしいですよ。効率化を図った結果、数だけは増えましたが中身が伴わなくなりました……なんて、恐ろしい話です。